蔵前に住む|そこは駅近の便利な街、新参者でも住みやすい

2019 1/06
蔵前に住む|そこは駅近の便利な街、新参者でも住みやすい

が子供の頃には問屋街だった蔵前は、すっかりコーヒーとクラフト系ショップが似合う街に変貌を遂げている。だからといって、古い街並みが失われたわけでは無くって、むしろその逆である。古い建物をリノベーションして、カフェ、デザイナーやクリエイター、エッジの効いたショップが、気が付くと新たに開業しています。2018年の春から蔵前に住んでいるぼくから、蔵前に住むことを考えているあなたに、この街をご紹介します。

さて、話は一旦ぼくが生まれたところまでさかのぼります。

は墨田区となった横十間川(ヨコジュッケンガワ)の西岸は、かつて深川北松代町と呼ばれていました。そばには、酒井氏や阿部氏といった有力譜代大名の屋敷があったところ。現在は都立病院が建っていて、ぼくはそこで生まれました。とはいえ、下町生まれだが江戸っ子*1ではない。
*1 江戸っ子=3代続けて江戸生まれ。江戸の東端は、幕末でだいたい現在の亀戸まで。

知って驚く街の歴史

【実は台東・墨田は大名屋敷がたくさん】

目次

下町から農村へ

わゆる江戸っ子ではなく、単に下町で生まれただけですが、下町生まれということでよいでしょうか。その後に育った町はそこからずいぶんと東に行ったところで、江戸城下とは呼べない地域ですが、それでも近頃はメディアやタレントが立石や新小岩を下町だと言うので、そういうことにしておきます。

しかし僕は知っている。
昭和の時代までそこは田畑が広がる農村であったことを。

 

そして下町へ戻る

吾妻橋

35年ほどその地域に住んで、近年、生まれた地域、墨田区に戻ってきました。

 

勝海舟生誕の地

くには運河、勝海舟が生まれた男谷家屋敷跡や、育った岡野家屋敷跡、さらに信仰したお寺(夜はとても怖い)。大岡裁きで有名な縛られ地蔵があった場所まで発見しました。あれは史実だったんですね。

歴史が好きな僕には、たまらない場所でした。

当初よりいっときの仮住まいと決めてはいましたが、こんなに楽しい場所があったのかと、好奇心とともに過ごす週末。

 

転居は突然に

こでの生活も2年を過ぎたころ、突然、そのマンションの情報はやってきました。

墨田区の家は仮住まいと決めていたから当然と言えば当然ですが、新居購入と転居の話はとんとん拍子に進み、この下町を離れることとなったのです。名残惜しいかといえばそんなことは無くって、墨田区と台東区は隣どうし。隅田川を渡るとはいえ、旧居と新居の間は、歩いても30分程度でした。

それに、浅草を中心とした同じ下町界隈です。

繁華街でいうと、錦糸町は遠くなっても、上野や御徒町は近くなりました。意外にも、蔵前から上野には、自転車でさくっと買い物にいけるぐらいの距離なのです。

 

蔵前に住む

前橋通りは、城東地域を東西に貫いている。
この蔵前橋通りは、秋葉原に行くために何度も自転車で通ってきた道でした。親友は蔵前橋の西詰にある蔵前工業高校に通っていたし、東詰にある安田学園にも親友がいました。いずれも、今も変わらず親友です。だから、蔵前という名前を聞いても、違和感はありませんでした。

 

鳥越神社

前橋通り沿いにある鳥越神社は、蔵前にとって大事な歴史が埋もれた場所です。江戸随一の重量を誇る神輿が出る鳥越祭りが開催される神社であすが、重要なことは別にあります。

かつてこの場所には、鳥越の丘と呼ばれた山がありました。この山は、全国の天領(幕府直轄地)から集めた米を収蔵する蔵を作るための土地造成に用いて切り崩されてしまった。完成した蔵こそが、浅草御蔵です。

浅草御蔵には67棟もの蔵があったから、その一帯は蔵前と呼ばれるようになりました

 

蔵前橋の下から見る蔵前一帯

(蔵前橋の下から見る蔵前一帯)

ぼくが住んでいるのは、そういう歴史が埋もれた場所。

 

蔵前は駅近便利

蔵前交差点

前は、実に便利な場所にあると思います。
北には浅草、南には浅草橋。
最近では、カチクラという言葉も生まれています。
つまり、御徒町から蔵前のエリアのことです。
春日通りを西に行けば、すぐに御徒町が見えてくる。

僕としては、浅草から蔵前にかけてのアサクラの方がしっくりくるわけですが。

これら周辺の街までの距離が、ものすごく近いのが蔵前の強みです。浅草も、御徒町も、浅草橋も徒歩圏内。他にも、両国や馬喰町も徒歩圏内です。どこも観光マップに出ているような場所ばかりだから、休日の散歩が楽しくなる。

 

浅草橋

辺の街には、便利な路線が通っています。
都営浅草線蔵前駅の改札を通れば、羽田空港も成田空港も乗り換えなしの一本で行くことができる。

都営大江戸線にも蔵前駅があって、こちらは新宿方面に向かうのにとっても便利。さらに、浅草の方に歩けば銀座線の田原町駅、浅草六区まで行けばつくばエクスプレス浅草駅。逆の浅草橋に行けば、JR総武線(中央線直通)が通っている。

これらがいずれも徒歩圏内だから素晴らしい。

徒歩圏内にこれだけ路線があると、出かけるときも、帰ってくる時がものすごく楽でした。仕事でも、出先から疲れて直帰する時には、たいていどこかの路線が便利に使えます。ちなみに、新宿から帰る時の都営大江戸線が最もありがたい。

 

蔵前は新旧のコントラスト

蔵前神社

こ蔵前神社では、江戸時代にたびたび勧進相撲が行われ、谷風や小野川、雷電が幾多の名勝負を繰り広げたそうです。

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現在の力士番付表は、1757年にここであった本場所から始まったものです。(蔵前神社由緒書きより)

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きら前御蔵前書房

争で焼け残った建物もちらほらあり、特に江戸通りを挟む両側には、歴史を感じる建物を簡単に見つけることができます。聖公会浅草教会も、歴史的建造物に指定されていて、外観には東京大空襲による火災で変形した金物を見ることができるほど。

戦火を耐えた厩橋も、歴史を刻むもののひとつです。

そして近年は、この蔵前に古くからある工場や問屋をリノベーションした店舗が増えています。観光客の増加を背景に、ゲストハウスもちらほら。宿泊する外国人は、銀座などとは違って、ショッピングよりも寺社仏閣、歴史や下町風俗に興味があって訪ねている様子です。

 

蔵前Nui

蔵前Nui店内

橋の近くにあるNuiは、玩具問屋の倉庫をリノベーションしたゲストハウス。1階にはバーがあって、国内外のおしゃれな人たちが集っています。

 

蔵前ダンデライオン

田川から少し離れた蔵前4丁目には、人気のダンデライオンチョコレート。倉庫であった建物は天井が高く、チョコレート工房の様子は二階の吹き抜けの窓から覗けます。最近は、休日になれば、外まで人が溢れていて大賑わい。

www.shitamachi55.tokyo

 

Tea Life Store NAKAMURA

ここでは、お茶屋さんまでもがかっこよくなってしまう。

 

蔵前マンション

して蔵前の街を俯瞰して見ると、背の高いマンションがたくさんあることがわかります。蔵前は商業地域とあって日影規制が適用されないことから、比較的高層のマンションが林立しているんです。今でも新築が販売されているし、工事中のマンションもあります。商業地域といっても大きな商業ビルは江戸通りに集中していて、その江戸通りや隣の国際通りの一本内側に入れば、小さな商店はあるものの、古くから人が住む土地。そこにはたくさんの生活があります。

の中に人気のお店ができて騒がしくなったり、コミュニティに新しい住民が入ってくると、少なからず従来の住民の反発が目に見えそうなもの。春日通りの向こう側の浅草寿町では、「マンション建設反対」の横断幕が、竣工した今でも目に入ってきます。

しかし、蔵前では逆だといいます。

 

建設中の蔵前小学校

建設中の蔵前小学校

しい人や新しいお店を、街全体がどんどん受け容れて進化しています。都心では廃校になる小学校が多く、台東区も例外ではありませんでした。保育園に転用されたところもあります。しかし、蔵前界隈ではマンションの建設が進み、世帯、子供の人数が増え、蔵前小学校は規模を拡大して建て替えています。完成まであと少し。

 

鳥越祭りお神輿

日あった鳥越神社のお祭りの際に、各氏子地域を見て思ったことがあります。蔵前4丁目の一部地域の氏子団体である三桂会が、ダントツに威勢がいいのです。威勢がいいといっても、荒くれ者という意味ではなくって、神輿を担ぐ者、応援する者、そこにいる全ての者から、みんなで祭りを盛り上げようというスピリットを感じたのです。老若男女が参加していて、見ているだけで楽しかったので、

よりも長く見ていたということはありますが、通りがかりの新参者である僕が御渡り中の神輿に近付こうとも邪険にされることは無く。嫌な顔をされることもない。僕はクリスチャンであるから神輿を担ぐことは永遠に無いが、全ての者を包み込む地域住民の温かさが、確かにそこにはありました。

 

鳥越祭り御渡り

活気溢れる町内神輿

 

住んでみた生活、スーパーなど

、日々の生活のこと。
蔵前界隈に限ると、大型スーパーは1軒しかない。
しかも、住所は隣町の三筋でした。
それでも、ヤマザキパンが運営するヤマザキというスーパで、たいていのものは揃ってしまう。しかも、なぜか僕が苦手なトマトが豊富だから、不思議なスーパー。しかし、ヤマザキばかりでは飽きてしまわないか。

不安になった読者のあなた、心配することはない。

こは蔵前である。
自転車で浅草ROXまで行けば、地下には庶民の味方の西友があるのだ。しかも、売り場面積が広い。繁華街の浅草にあって、この面積はすごい。
高級食材や珍しい食材が欲しいときには、御徒町に行けば良い。そう、アメ横である。他にも、吉池がある。松坂屋もある。ディスカウント品なら、多慶屋がいいだろう。

ンタルビデオなら、春日通りを北に超えて寿町に入ってしまうが、ゲオがある。旧作なら7泊8日で1本85円という破格の安さだ。品揃えに不安があるなら、浅草六区にTSUTAYAがある。ここはゲオより若干高くなるが、品揃えが豊富です。

 

精華公園の鳩

さなお子さんがいるなら、蔵前は特に住みやすいと思います。蔵前の道は路地でも比較的広い道が多い上に、その多くで一方通行が設定されています。子供を連れて歩くには、見守りやすい作りだと思う。路地を猛スピードで抜ける車も、過去に住んだ街と比較すると、ここでは見たことが無いぐらい。蔵前4丁目の「ダンデライオンチョコレート」前には精華公園があって、休日には多くの子供たちが遊んでいます。ここの鳩は妙に人懐っこい。

 

Coffee Wrights蔵前

園の角に面した場所には、自家焙煎コーヒー「Coffee Wrights」があります。天気の良い休日の午前中に、テイクアウトしたコーヒーを公園で飲むのは格別のご馳走。(写真奥に見えるのは、ダンデライオンチョコレート)

もなく蔵前に住んで1年が経ちますが、休日のカフェやショップ巡りを楽しむ人たちとすれ違うと、「自分は本当にこの街に住んでいるのだろうか」という錯覚に見舞われてしまう。

蔵前は異次元にある町か!?
それぐらい、僕にとっての蔵前は、素敵で特別な街なんです。

いまだに現実とは思えない蔵前の生活は、まだ始まったばかり。
これからもアサクラ生活はつづきます。

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